徘徊時の声かけや対応方法


認知症高齢者の徘徊は、家族にとって大きな不安材料です。見慣れたはずの道を迷ったり、自宅に戻れなくなったりと、徘徊による事故のリスクは少なくありません。そのため徘徊時の適切な声かけや対応方法を理解しておくことが大切です。

まず徘徊している方を見かけたら、驚かせたり追いかけたりせず、落ち着いて優しく声をかけましょう。「どうされましたか?」「何かお困りですか?」など、シンプルな言葉で尋ね、相手の状況を把握しようと努めます。例えば、真冬に薄着で歩いている場合は「寒いでしょう。温かい場所に行きましょう」と声をかけ、安全な場所に誘導するのが良いでしょう。焦っている様子や混乱している様子が見られる場合は、無理に止めようとせず少し距離を保ちながら寄り添うことが大切です。

次に、安全を確保するために、周りの人に協力を求めましょう。近くにいる人がいれば「この方が迷子になっているようです。一緒に探していただけませんか?」と声をかけ、複数人で対応することでより安全に状況を収拾できます。また、110番通報もためらわないでください。警察は、迷子の捜索や保護に尽力してくれます。徘徊している方が身元を示すもの、例えば、名前や住所が書かれたメモなどを所持している場合は、警察に伝えることでスムーズな対応につながります。

最後に、日頃からの備えも重要です。徘徊の経験がある場合は、GPS機能付きの機器を身につけてもらう、衣服に名前や連絡先を刺繍するなど、早期発見につながる対策を検討しましょう。地域包括支援センターなどに相談すれば、徘徊対策に関する具体的なアドバイスやサポートを受けられます。また、ご近所の方々に認知症の方を介護していることを伝えておくことも、地域社会全体で見守る体制づくりに繋がります。